星霜抄 2026.3.28.29~第101回月釜茶会「灰屋紹益の奥傳稽古」~

お陰様で麗らかな桜日和のうちに無事終えることができました
感謝を込めて礼状と写真と会記を掲載します

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拝啓 花の候
この度は「灰屋紹益の奥伝稽古」第百一回 星霜軒月釜に御参会 真にありがとうございます

二月に第百回の節目を迎え改めて初心を誓いました
と同時に今後はより奥深い茶の湯を客人と共に楽しんで参りたいと願いました
おりしも利休忌に 再出発を期しての茶会となりました

歴史上 政治や経済という世相の表舞台に立つ よく知る古人の中にも また一無位の人々にも隔てなく途切れることなく
茶の湯に真剣に向き合い相伝稽古まで修めた先達茶人が多くいます

現代の私たちが口伝で習うのと同じ所作を彼らもなぞり「形」に入って同じ「真の相(すがた)」を咀嚼していたことを知ると
先達とのシンパシーもより濃く深くなります

利休居士はもちろん織田有楽斎や千宗旦や金森宗和もみな同志なのです

その中には 吉野太夫の夫として有名な灰屋紹益も含まれました

金満家で女性にもてるだけでなく 一級の文化人として名の高い佐野紹益がどのような稽古をしていたのでしょうか
真摯に相伝稽古に励む様子は私たちがこれまで抱いていたイメージを一新しました
彼は五十代の頃 二十歳以上も歳若であった公家の風早実種を師匠として
毎回自作の茶杓を持参し初心を貫徹すべく稽古に励んでいました

その様子が解る古筆消息を茶掛にして 当時の奥伝稽古や師弟関係を肌で感じる一会としました

灰屋なら素晴らしい唐物も所持していたでしょう
そこにどんな美意識が宿っていたでしょう

今回初めて星霜軒の唐物茶入「不侶(ふりょ)」と唐物盆とで盆点にて一服差し上げました

釣釜は初代寒雉 時代の古鎖に揺られる湯気を見つめるうち時空は撓み
気づけば茶室のそこここに先達茶人達の気配が生じます

毎度この四次元世界での点前は亭主こそ楽しからずや
また襖の影より全てを見ている半東もまた嬉しからずや

一座の呼吸が完全に和す瞬間
永遠を生じる奥の稽古

この本当の楽しみを月釜茶会を通じて表現し稽古へのお誘いとしました

萬法に侶たらざる者は真の形を知る……
今後もまたどこまでもお付き合いください
敬具

令和八年三月二十八日・二十九日
星霜軒 庵主 吉森宗浩 宗光