リンゴは輪切りでいただくのが 星霜軒流です

リンゴは輪切りでいただくのが
星霜軒流です
私はリンゴの横顔に惚れ込んでいる
凛と佇む姿を壊したくない
塩水にも浸さずに
リンゴの真味を味わいたい
手間が少ないから?
生ゴミがでないから?
現実主義ならそうですが…
たぶんやってみないと解らない
リンゴを輪切りする時のバランス
再び元の姿に積み上げる安堵感…
食事中も刹那に愛でる艶や色は
床の間の茶花をいとしむ気持ち
いよいよと…
そっと一枚手にとった途端
八等分では見えなかった
リンゴの気持ちが見えてくる
それは今日を占うタロットカード
きっと自然に会話が増えてしまう
リンゴが語りかけてくる
リンゴの中心に庭の緑が見えてきた
ニッコリ笑って宮沢賢治風に呟く
『僕は宇宙なんだよ』
真ん中は『空』なら
リンゴは空っぽなんだろうか
真っ白な一枚を透かしてみたら
星形の桔梗の花のシルエット
種が出てきたら大当たり
本当はこの子の為の栄養だった
いただきましたのお礼を云う
ありがとう
楽しみました
昔あなたのご先祖さんは
人間に考える力をくれたんですね
人間に果実をくれたお礼に
人間はリンゴの樹を植え続けます
暮らしは仕事
仕事が暮らし
中身ばかり欲しがるのは
つまるようでいてつまらない
中身がないことは
空っぽのようで空っぽじゃない
空は無限への入り口