東京都立大学茶道研究会
 ~令和5年の初釜 その1~

2023.1.21
東京都立大学茶道研究会
 ~令和5年の初釜 その1~

三年ぶりの大学の初釜!
おめでとうございます

稽古初めとしての意味を見直し
初席にて吉森が濃茶を練り私が半東
二席目には私たちがもてなされ
賓主互換でことほぎ合いました

新代表が一年生という珍しい今期
一、二年生でのチーム運営は
新しい風に合う新しい舵捌きになるでしょう

南大沢キャンパス国際交流棟には
国宝茶室「如庵」の写し「恕庵」があり
広間はカトリック教会のようなドーム天井で
鴨居はクルスになっています
手漉き和紙のグラデーションは
点前座の人を引き立てます

寿似南山
山田無文筆

ことぶきは、ことほぎ
物でなく言葉で祝うこと
言霊を大切に生きたいものです

また寿の一文字で「いのちなが」とも読み
漢字の上部は杖をついた老人を表し
下は曲がりくねった複雑で長い道のりを表した文字が元になっています

不二山の茶碗と南山を重ねて
ひとたび雲が晴れた暁には
堂々と裾野を広げましょう

一粒食べたら三千年の命を得るという
桃を育てた仙人の名「西王母」椿に
素芯臘梅は庭師からの太陽の差し入れです

茶道研究会も今年は第30期を迎えました
長いことを慶びましょう
瀬戸の長~い茶入に祝意を込めました

茶杓は師匠に頂いた「白梅(しらうめ)」
母、84歳の作で句銘付き
「梅真白 枝垂れて揺れて 寿(いのちなが)」

同じ「白梅」銘の茶杓を
師匠の師匠が84歳で
削ったものが存在します

私が84歳になれたら…新しい「白梅」を
削り弟子に贈りたいと夢見ています

浄められ湯の沸いた茶室に至る
打ち水に写る常盤木の緑…
手をつけば畳の綺麗さに感動し
床の框も障子の棧も光を宿している

さらに沓抜石が磨かれてさっぱりと
誇らしげに出迎えてくれたのは
胸を打ちました…

花びら餅のふっくらした甘さと
青雲の熱い一服が体に染み込み

晴天を突き上げる紅いものの芽と
キラキラ光るガラスの塔は
大寒をものともしない若さに見えました

一歩一歩
お茶の深いところを楽しめるように
若い皆さんと共に歩んで参ります
できるとこまで精一杯頑張ります
どうぞ少しのお力をお貸しください

そうそう
露地の鹿威しが朽ち果て
ついに音を発しなくなりました…
大学の予算は当分つかないようで(涙)
沓抜石を磨いた男子が残念そうに
寒風の中、見つめていました

庭師にお願いごとをしてみたくなります