星霜抄 2026.2.8

百億の六花も唯我独尊す

吹雪のドライブで昨夜栗平に帰り
一夜明けて世界が「しん…」と鳴り響くのが聞こてカーテンを引く

真っ白に生まれ変わった世界に
心をキラキラに洗われた朝

小さい頃
雪に興奮してパジャマのままベランダに飛び出し
父にひどく叱られた日を思い出す

舌を出しつつ露地草履を突っ掛けて
やはり部屋着のまま庭に出た(笑)
大人命(うしのみこと)も苦笑だろう

竹穂垣に降り積もった雪が
目で見るゆらぎの音楽を奏でる

古い滑車に斑雪が吹きつけば
織部もおめかしして見える

火消し壺までが白粉をはたき
よそ行き顔で閑座している(笑)

楊梅(やまもも)の葉は幾重に繁り
雪山になりながら
樹下に雪を通さず露地を守り
頭に少しの雪を乗せた灯籠が
帽子を被った童のように嬉しそう

翌檜に吹雪いた横殴りの風は
枝の側面に彫刻を残した

花水木のリズミカルな枝に積もれば
欧風のアイアンアートを思う

梅見門は不思議の国の入口になり
木斛(もっこく)の根本にドワーフを探す

やはり雪椿は美しい
古人ととめに愛でる

雪が冷やした空気を吸って
はーっと吐いたら
何億何兆分の一でも
銀世界と混ざれる

セーターから冷気が染み込んで来る
家に入ろうか
次の角まで覗こうか
好奇心と冒険心が止まらない

雪にありがとう
今日はきっと
日本もまるまる心の洗濯日和✨

よいこと起きそうな気ばかりする
春の雪