蕗 花菜 野蒜
探して
憂い摘む
ひかり
(ふき はなな のびる さがして
うれいつむ)
散歩道で出会う草花の多くが
食べられる草花であることは
気づいただけで
安心したり
豊かに感じたり
有難いなあと思う
今すぐは摘まないけれど
いざというときは宜しくね
とニコリと笑顔を向けて通る
自然はかくも人間に対して優しく
寛容だと嬉しくなり、また
ときとして我が儘で思慮深くない
人間の行いに赤面する
そんなことを思いながら
坂道を登っていたら
ものすごく息が苦しくなった
ふとウィルスのことが頭を過り
まさか…と
どんよりと不安になってから
出掛けからマスクをしっかりし過ぎて
そもそも呼吸がしづらかったことに気づく
一喜一憂するおのれが心の
ひ弱さを痛感する
わたしの心に比べたら
微風にそよぐ稚児ユリの株の
なんと雄々しく見えることか…
『心』という字は
見るからに『パラパラ』していて
ふわふわと浮いてもいて
落ち着かない感じがよく出ている…
心は本来
あったかくてまあるい
お饅頭みたいなのが好き
でも転がり過ぎないように
少し力を入れて平らにしておくとよいみたい…
平心
平常心
麺棒みたいなまっすぐな物で
ぐいぐい伸ばしたコシの強い
心を持つ人はやっぱり希で
みんな少なからず
ゆらゆら
ふわふわ
さ迷っている
心は気体に近いのかな
温まると上昇し
熱くなれば体を突き破りそうに暴れ
冷えれば沈んで黙りこみ
凍れば結晶が体内のあちこちに刺さってチクチクと痛む…
心と言と体が混ざりあい
一つにまとまっている時は安らか
お天気のせいか
そうもいかない日もある
今日のわたしの心の姿を見つめて
一度は体や言葉がそれに寄り添ってあげる…
体と言葉と心が
いちどちゃんと手を繋いだら
それから言葉がリーダーになって
明るい方へ導いてあげよう
体が半東(補佐)になって言葉を助け
心が付いて来るのを待ってあげればいい
ついて来れない心を
遠くおいてけぼりにしない方がいい
また戻って三者でチューニングして
今度はもう少し低音から始めてみる
三つが一緒になるまで
好きなだけ行きつ戻りつしてもいい
散歩は
とっ散らしてもよいという歩き方
あ、懐かしいね
三歩進んで二歩下がるか
(昭和は遠くなりにけり、ですが)
鳥のさえずりや
木々のざわめきは
調律の目安にちょうどいい
今日は農園でヒタキが歌っていた
ピュールリ
ピュールリ
ピュールリ…
森のディーバが歌い上げる
アリアの歌詞がはっきり聞こえる
『生きているって
こんなに素晴らしい』
ヒタキ先生のお導き
早咲きの躑躅姉さまの微笑み
手作りおやつの甘味の天啓
食べられる草花みたいに
幸せの種はそこここにある
今日はいくつ
見つけられたかな?