「星霜軒一日二冊」其の四「新星霜軒一日二碗」其の一

ある美術博士に、星霜軒の茶を所望された。
いまはまだ、オンラインの話。
私たち夫婦でそれぞれ四年ずつ通った、茶道のゼミナール。
そこで僕は博士の講演を聴き、近代数奇者と呼ばれる茶人たちの肖像が鮮やかに描き変えられてしまった。
茶杓で羊羹を食べ、花の名前を答えられず「ロボット亭主」と揶揄された鈍翁の、その後の茶人としての魅力は不断なる努力と実践なくしてはありえないし、「雷親父」井上馨の明治天皇を茶室にお招きした際の破格の配慮は、大胆で優しい。
博士の著書と共に、星霜軒による即興の茶会を二席。
・「皇室と茶の湯」の茶会
 床 八条宮智仁親王筆 短冊和歌
 「夏の夜は霜の真砂を~」古筆了任極
 花 都忘 小判草
 花入 歌花筒 谷村丹後造
 菓子 三角粽 神楽坂梅花亭製
・「女性と茶の湯のものがたり」の茶会
 床 柳原愛子筆 短冊和歌
 「言の葉の花をかざして~」
 花 谷空木
 花入 歌花筒 谷村丹後造
 菓子 無花果餅 井上宗豪製