和敬清寂日記    ~stay home 時々お人~

和敬清寂日記 
  ~stay home 時々お人~
星霜軒にて初夏満喫
真夏日が数日続いたあとに
市中で買う完熟トマトは見事で
極上の幸を与えてくれます
梅雨前に味わっておきたい宝石
今年の庭は一枚一枚が
見たこともない立派な葉を繁らせて
花も瑞々しく凛として
枇杷もほんのり色づいて来ました 
近隣に住む初対面の方が
空のペットボトルをたくさん
集めてはくださり
代わりにまた
次亜水を汲んで帰ります
小さなお子さんの居る家庭では
『床にあるものを何でも口に入れてしまうので、床を拭くのに使っています』
と日々重宝している様子を
語ってくれる
互いにマスクの下に笑顔を透かし
碧雲門の下でお日様を凌ぎながら
水を汲む間だけの歓談…
最近の星霜軒は小さな小さな
町の井戸端になりました
今は栗平の駅前に住む天使のような
りゅうたろう君を始め
水が運んでくれた
土地のご縁ができ始めました
同じように門前を掃いていても
皆様が会釈や言葉をかけてくれます
リモート稽古や奥伝研究会など
社中との交流が日常的にも
入って来るようになりました
『庭にフキがたくさん生えていて…
お持ちしていいですか?』
と、いつもリモート稽古で
背景に窓の緑が豊かなお弟子さんが
翡翠色のフキ束を持って来てくれました✨
車でいらしてかなり迷ったのかしら?
20分の距離を2時間くらいかけて?
はるばる(笑)来てくれました(感謝)
星霜軒のご近所の自家焙煎の店
たぬきさんでコーヒーをお土産に買って来てくれました✨
(実は初めて頂きます)
アーティストの明子さん
コロナ禍でインドネシアのアトリエ創設を見送っての失意の帰国後
次亜水のプロデュースを手掛け
パッケージの作画や商品名など
しばらく次亜水と向き合って
その性質や人にもたらす幸について
深く考える日々だったそうで…
私たちシンクロしていたのね~
と談笑
庭師の杉山さんも
『チャドクガの季節だから』と
消毒に寄ってくれたり…
割れた松の植木鉢を買い換えるのに
私の新卒の職場であった
ディノスのカタログで買い物したり
組み立てに工具を握ったり
新旧の縁にゆるやかに繋がれながら
マイペースを守る暮らし…
昨日は前々からの用事で
大磯まで久しぶりの運転でした
晴天の日曜に他府県ナンバーのレンタカーで湘南地区に入るのには
やたらに気が引けましたが
相手のあることゆえ仕方なしか…
二ヶ月あまりの間の変化でしょうか
遠目に見た湘南の海は
明るいエメラルドグリーンに輝いていました
大磯といえば…吉田茂邸ですが
いまは見られません
ついでの観光は全て控えましたが
書家の露巌先生に
お忘れ物をお届けする用事もあり
新しく表札を書いて頂いた門披以来
ご夫妻にお目にかかりました
お稽古場も見せてくださり
空海の筆を臨書する姿を拝見できました
弘仁三年 十二月十 四日於高 
雄山寺…
と『その日』の記録を字で辿るうちその時の空海の息づかい
滴る墨にみなぎる歓びや
衝きの強さに表れる気合いを感じ
いましも目の前に最澄や泰範が現れそうな気持ちになりました
本題の用事は順調に終えて
(こちらはまだ水面下pjt)
立ち話と土産の交換のみにして解散
後日ズームで打ち合わせする
『今様』な段取りもなかなか快適
くださった方を思いながら頂く
お菓子での一服
桑の実
破竹の筍
フキやコーヒー
空海の文字を追いながら…
二人きりの空間にも
ご縁のひとびとは寄り添っている
日常が1/f のゆらぎを含みながら
ゆっくり過ぎていく