星霜抄
~カリンの歌声~
一月前のこと
重たい箱が届きました
太陽の光を集めた果実カリン
今年も板橋の東京大仏さまから
分けていただきました
毎年カリンを拾っていた空き地に
マンションが建ち
一年通して愛でていた
カリン、栗、梅を一時に亡くし落ち込んでいた年
私の優しい大仏さまからカリンを送っていただきました
冬場の喉の養生に欠かせない
星霜軒自家製カリン茶は
こうして続くことになりました
早速神棚と仏壇に報告をして
秤で計ったら2キロ越え…
早速ネットではちみつ3キロ瓶をオーダーして待つこと数日間
その間ずっと窓辺に飾り
木漏れ日と戯れ
夕陽に染まるカリンと暮らし
時折は稽古の合間に
窓辺カフェで憩いました
夜はリビング全体に
優しい芳香が漂いました
数日後また重たい箱が来ました
渡されて『うっ!』となりました
はちみつが届いたのです
まな板の上でカリンと格闘技…は
手の大きな夫にまかせ
私は種も残らず瓶詰めしてから
はちみつ2キロを注ぐ係り
琥珀色の蜜を見つめながら
とろとろと濃厚で甘い時間を瓶に流し入れる
しんどくて素敵な至福の時間
毎朝毎晩眺めてしまう
ほんの数日で果汁が上がって来ました!
果実が新鮮だと漬かるのも思いの外早いのです
親子で稽古に通う二人が
あ、カリン!と嬉しそうに眺めて
綺麗だね~!と笑顔になる
二人の横顔からも
はちみつのように輝く光が滲み出ている…
そういえば木村親子には
地元町田でできたはちみつをいただいた
やはりお弟子さんにいただいた
ご実家果樹園のレモンと一緒に
レモネードで飲んでいる
カリンを見れば浮かぶ顔
はちみつを見れば浮かぶ顔
レモンを見れば浮かぶ顔
みんな太陽の光を帯びている
実は今年の秋から
初めて喘息と診断されました
声が掠れるほど咳き込んだり
横になれずに過ごす夜
心からカリン茶が待たれます
みんなみんな
ありがとうございます
天の恵み
お人の恵み
しっかり命を受け止めて
元気に暮らして参ります
家事をしながら
一人でご機嫌に歌うときも
艶やかな声で歌えますように