令和四年 星霜軒 社中初釜

令和四年 星霜軒 社中初釜
2022.1.8~10

三日間、午前、午後、
計6席での社中の初釜茶事
晴天のうちに無事に
開催することが叶いました

ありがとうございます
全てに感謝します

露地の枝折戸、四つ目垣、筧
門松、鶴亀に古代米の柱飾り
床の間の二重切花入まで
青竹で迎えた初釜は
時勢の厳しさもあり感無量でした

前々日の初雪に
全ての樹木の葉は世塵を祓い
打ち水するほどに応えて
惜しげなく春光を跳ね返してくれました

頼まずとも前日には
来てくれる社中

花びら餅
干菓子の梅に鴬…
菓子の製も社中なのも幸せなこと
菓子を届けて自ら席入する正客

露地の石も蹲も
ガラスの飛び石も
敷き松葉の一本一本も
それぞれの彩りと光を纏い
メジロやコムクドリの囀りに
きらりきらりと
音のないオーケストラを奏でました

正親町帝に添える結び柳が
緑の色も新鮮で長々しく
また今年はしなりがよくて
嬉しくて柳と語らいながら
ゆっくり時間を割いて整えました

幸せの輪を描けたでしょうか
まあるい結びは光輪のように
離れて床の間を見る私は
瀑布を眺める李白の心地…

この日を信じて花市場から
活きのよい柳を仕入れてくれたのも
社中でした

年賀に届いた別格大吟醸
早速に開けて皆で吟味…
桐箱は面取り、箱書きは墨

そう…皆さんが信じてくださって
初めて叶った茶事でした

社中の皆さんの庵にも
福の神が通って頂けますように

茶入は赤楽
松浦静山の造り『福の神』
茶杓は大宗匠の『神光』
薄茶は日昇大平棗
今年は青漆爪紅及台子で
点前し続ける緊張と有り難さを
譲ってもらいました
吉森は厨房から後座は変身して
続き薄茶でタッチ交代です

目出度い尽くしの懐石具も
久しぶりの活躍です

青青した黒文字をたくさん使い
冬の寒さで引き締まった
美味しい食材を使わせていただき
たくさんの命で成り立ちました
栗も黒豆も一つ一つが命のカプセル
ごまめの1頭1頭にも合掌です

二年ぶりの初釜は愛しくて
(昨年は前々日にオンラインに切り替え開催)
正装された社中のお一人お一人の
なんと美しく輝いていることか!
皆さんこんなに美しかったのね(笑)

人は直心で交わらねば
回を重ねても意味がないです
そして素顔の交わりもよいですが
装いや賀詞も本当によいものです
装いはお人への思いやりの表現そのものなのですから

手間隙かけて髪を結い
着物を取り合わせ
お化粧も綺麗に
新しい足袋に白い襟…
ご準備くださり定刻に集う
全てが清々しくて涙が出ます
手荷物をまとめた風呂敷の姿が
年年歳歳美しくなる…

目に残る場面は言葉に尽くせず
カメラの画像も古びたスマホに
上手く落ちず…
ただ仏壇神棚にお礼して
二人で語らって感謝して
今日の気持ちをまた釜の滾りにかえて
今年も暦をたどり
三千世界の続きを歩きます

ありがとうございます🙇