~ 靖子抄 米寿誕生日ツアー2~


2023.9.26
朝日を拝みまた温泉に…
熱海の泉質は湯中りせずじわじわ持続する
私にはとても合う
昨夜の余韻でお肌がツルツル
筋肉はしなやか

インフィニティデザインの温泉で
海と一体になった後はお粥で和定食
地産の鯵の干物と納豆の大豆が美味しい…

ホテルの敷地を散歩すること二時間半
メインダイニングの錦から
屋上庭園へ抜けると南国気分

眼下に押し寄せる波と洞窟
ダイニング錦のガラスに写り混む
日本画アニメーションのような波濤…
全く見飽きることなく眺めてしまう

六角堂のような東谷はかつてのバーで
いまは荒れている…が

魔法のようにさっと目の前に出された瓶は
冷えたマスクメロンソーダ!?
(なんと先ほど階下の売店で吉森が知らぬ間に買って鞄に忍ばせていたもの✨)

映画『シュリ』のようなベンチで
母と並んでしばし語らう

昔むかし母が少女時代に
縁組みしていた銀座の大叔母と
昵懇だった内田信也氏と一緒に
熱海の地に事業の下見に来たそうだ
(大叔母は手を広げるのを厭い話は流れた)

静観荘のこと
錦ケ浦を覗き込んだこと
まだ飛び込みの名所で危険な場所だったこと
ふと数日前に思い出して
『熱海に行くんじゃないかしら?』
と感じたそうな…

目の前の熱海の潮が
さらに記憶を呼び覚ましたのか

信也氏の息子さんの遊び相手役の話や
後に出稽古でも通った話
軽井沢の信也氏の別荘で与次郎の釜を出したら蜂の巣になっていて投げ出して逃げたこと
(靖子にくれようとしてわざわざ出した釜だったが、蜂の巣騒ぎで釜はどこかへ……、、、
って、私が今頃悔しい)
本宅の庭のバラ園を兄(私の伯父)が造った話

銀座の『きよ龍』は現在のうかい亭の近く
大叔母の銀髪を紫に染めた髪を思い出す
神棚に祈る姿が様になる人だった
『あなた、靖子の子かい?』
法事の日に私に話しかけた大叔母

微かな記憶の断片だったものが
物語の一章ごとになっていく

靖子米寿の茶会では
信也氏と大叔母がくれた棗で
私が副席をかける