星霜抄 ~雛祭茶会2024.3.3~

 

拝啓 青き踏む候

この度は雛祭茶会にご来駕お力添えくださり誠にありがとうございます 
宇宙と地球の結界 成層圏 
そこから庵号を星霜軒(せいそうけん)と名づけて十年

星になった故人と今を生きる私たちが共に語らえる茶の湯を始め気づけばあっという間です

幾星霜と名乗るにはまだ短か過ぎる年月……行く手は限りなしです

大徳寺弁当箱で始めた自宅の茶事も百回を越え 月釜茶会は間もなく百回目を迎えます
これが成り立つのは いらしてくださるお客様と 稽古に足しげく通い 茶力すなわち人間力を付けて実践してくれる 綺羅星のような社中の面々 同志のお陰様です

来年卒寿を迎える師匠(母)は 先を歩み続ける小さな背中を私たちに見せてくれます
先達も私たちも 茶の湯の世界が無限の楽しみと気づきに溢れているため 自然 歩みが止まることがないのだと思います
「お茶をするのなら お茶そのものの価値を高めなさい」
師匠に言い渡されて以来ひたすら模索して来ました 
茶の湯界の力学は早くかき回そうとしても容易には混ざりません 
時間をかけて幾重にも取り巻く年輪のように少しずつ広がっていく宇宙…… 
遠くから眺めてもその渦中に居ても美しいのが銀河です

古き茶道具は先達の優しさの足跡であり
一つずつ辿るための飛び石です

常に私たちを高め続けてくれる茶の湯への感謝を原動力に 
ゆっくり時間をかけて甘く清らかな和みを我が茶とし
また次の席で時空を整え一壺天を成して皆様をお招きしたく思います

「道縁は無窮」禅を修める弟子が私たちに授けてくれた言葉です
血縁や地縁でなくお茶で繋がれた大切な皆様 
どうぞ末永く星霜軒を育ててください
 
敬具
令和六年三月三日 
星霜軒 庵主 吉森 宗浩・宗光


星霜軒の開庵10周年の記念に
五島美術館にて茶会をしました
お陰様で青空の花の下に
無事に終えることができました

お力添えくださった社中と客人、企業様、皆様に心より感謝申し上げます
ありがとうございます

朝の集合写真は
早春らしい青い光に包まれて…
初席にお招きした依田徹・明日美新婚ご夫妻もご一緒頂き
『雛祭』らしい景が残りました

美濃吉竹茂楼の佐竹洋治氏に祝膳席をお引き受け頂き幸せです
雛の膳と京風鯉こく絶品でした

梅花亭井上氏に濃茶の菓子を
行松旭松堂の宏展氏・妃奈子氏に干菓子と土産を依頼し
甘く優しく支えて頂きました

平素はお忙しい皆様がたが
ご遠方からも多数お集いいただき夢を見ているようでした
私たちは幸せ者です