ご報告 ひかりの茶会 第2日目 

5月3日
ひかりの茶会 第2日目
テーマ「地(つち)」
ラヴェル作曲ボレロに合わせて男子5人ユニットによるシンクロナイズド盆略点前

吉森宗浩&首都大ボーイズ
女性陣によるシンクロ運び

ソロで始まり四人が輪唱のように追いかけ
やがて二碗目で五人シンクロし
エンディングの総礼で倒れこむように終わる

遡ること一月のあいだ
お点前の時間を計り計りリハーサルを重ね
曲の後ろから逆算して始めることで実現した
曲と点前のシンクロ二シティ…

初日は、視覚と脳内のイメージのシンクロでアラベスク紋様を描き
二日目は聴覚と視覚のシンクロ二シティへ

菓子の名前は「火之迦具地(ひのかぐつち)」
日本の神話に出てくる炎の男神
生まれ落ちるときに母親を焼いてしまった罪を背負い生きるが
やがて多くの命を生み出す役割をもつ

人として生まれ生きる罪と使命
モダンバレエの様式美を借りて表現したかったのは
人のいとなみの色と温度

竹炭の黒と紅花の紅のねりきりが
歯応えある胡桃の餡を抱える
蒔絵の道具で散らした金粉…

お茶のよさを伝えたい気持ちが高じて
新しい試みにいたったこのボレロ茶会

何かを生み出すことは
同時に
何かを破壊する行為ともなる

火之迦具地…

今日のボレロ茶会を産み出して
自分は何を壊したかを
闇の中で何度も振り返り
内省してはいにしえの人の心を図る日々
繰り返した稽古の最中にシンクロしたのは
神話まで遡らずとも
数百年の茶の湯の先達たちの心と歩み…

新しい挑戦の是非に迷い悩みながらも
人は何かを思考し行動せずには生きられない

いまこの小さな一歩を踏み出す勇気もまた
いにしえからの繰り返しであり
それが道となり輪廻であり
宇宙の営みそのものでもある

シルヴィギエムのボレロを見た時
私のちっぽけな脳みそが
垣間見た妄想が
消そうとしても消えない炎となり
それ自体が生命体になってしまった

妄想を現実にしてくれたパートナーと
若き茶人たちに

またこの刹那をともにして
共感してくれた皆様に

感謝という言葉ではよそよそしく感じるくらいに
万感のフラッシュが走り抜けた日

瞬く間に
全十回のカウントダウン公演を終えました

またいつの日か
金粉のような煌めきの瞬間を
共有し響きあいたいものです

ありがとうございました
合わせた両手を離した記憶がないうちに失神し
瞬時に三日目の朝が来ていました…