旅の日記 ~その 8 ~
ベルサイユ宮殿は、ピクニックやウォーキングというほど歩くだろうな…とは思いつつ
何万という観光客の一人になるのは、なんだか少しつまらないような気がしてしまい…
招かれた気分になりたくて?四度目のベルサイユへは、初めて着物で行ってみました(笑)
宮殿内はやはり、人いきれが凄くて、とても王族や貴族の気持ちにはなれず、豪華な装飾も権威を主張する威嚇のように見え、見上げてばかりで首が痛くなり、当時の民衆の気持ちに荷担したくなります
一方、永平寺のように、生活の詳細までこと細かに規則を作り、自らの暮らしを式典にしてしまったルイ14世は、意気込みは天晴れと敬意を払うものの、自己の「暮らし」までをなげうつべきだったのか…
いや、ある意味、まさに暮らしが仕事、の人なんですが
あまりに職務に対し勤勉過ぎて、王たるがゆえに太陽神を手本としたり、一個人であることの全てを表向き捨てしまい
夫婦の営みまで公開する心意気は素晴らしいけれど
子孫にまでそれを強い、運命づけて逝った生涯を、本当に良かったと思っていたのか…
王が全てを決めるのだから、子孫はまた自分の主人公を発揮して、時代とともに暮らしを変えれば良かったのかも知れないけれど…
今も続いていればまた評価は違うでしょうが
でもフランスでは、屋根裏の向かいの部屋の住人も全裸で窓を開いて外を見ていますし、
目が会えば普通に
「ボンジュール!」ですし…
案外、奇想天外なことでもないのかも?
宮殿を出て、グラントリアノンに至る庭園の柵の外の森を一緒に歩きながら、ルイの一番の喜びとは何なのか、話を聞いてみたかったです
あまりの装飾の多さと(作為的な装飾は、作者の意思のビームを放つので、電磁波の飛び交う中にいるようでした)、人と人種の多さと、トリアノンまでの全徒歩と、帰りの雨と、さまざまな立場の古人への思いを馳せた結果、ぐてんぐてんに疲れました
星霜軒の暮らしと、小さな庭が少し恋しくなりました
(日記は続けていますが本当はもう帰国して書いています(笑)ご安心ください)