立冬の候
11月7日、8日と二日間にわたり
鎌倉の一条恵観山荘にて
『久方の茶会』を営むことが叶いました
光、月、天、雲、都…
本来『久方の』枕詞が沿うものに
思いを馳せつつ祈るように迎えた日
明るいお天気に恵まれ
薄紅葉と黄葉と苔緑の庭園には
滑川の瀬音に混ざり
朝は鳶の鳴き声
午後は鶲の囀ずりと…
松風の音と寄り添う丸二日の洗心
いまは感謝と疲労の波に身を委ね
いのちの有り難さとその美しさに
合わせた両の掌を離せずにいます
この時勢下にも拘わらず
お忙しい中 また遠くは九州から飛行機で
関西や東北よりは新幹線を使って
鎌倉までお運びくださいましたこと
心より感謝申しあげます
こうして同じ場所に集い
目の前の風光を共に味わう時間が どれほど貴いことか…
かつてなく身に染みる令和二年となりました
思うに「いのち」には本当は自他とか境はなくて
いま明滅する焔の美しさを共に愛でている隣人がいること
そのことが嬉しくて 有難くて
互いの心を照らしたり温めたりしてくれる交信や作用なのかと思えます
忽然と様相を変えた世界でも
変わらないのは自然の営み…
その中で社中の一人一人が工夫を重ねて稽古を続けて来ました
お蔭様で今年も新たに茶名を頂く者が続きましたし
数寄屋門披きの茶会以来九ヶ月ぶりになりましたが
社中の茶会を開催できました
お茶に出逢い皆様にご縁を頂けて私たちは本当に幸せです
これからも変わらず
命ある限り一層精進を重ねます
末永く御付き合いをお願いします
さて冬に入りました
温かにして穏やかに
小夜の中山を思いながら
共に一生懸命に冬を越えましょう
大切な皆様のご健勝とご多幸を
心よりお祈り申し上げます
敬具
令和二年 霜月 吉日
星霜軒 吉森 宗浩 宗光 拝
追伸でお知らせいたします
十一月二十九日(日)
第五十回 星霜軒月釜茶会
『茶壺の魅力』
※オンライン開催
こちらからご覧いただけます
また十二月には少人数で炉を囲み おでん懐石で古を温める
『歳暮の茶事』をいたします
十二月下旬には『除夜釜』を
いずれも星霜軒にてゆったりと
今年を暮らして参ります
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