星霜抄  ~咲くや此花茶会~


令和4年3月20日、21日
吉森社中の春の小寄茶会

前二日は大雨と晴れ間で草木が潤い
茶会の二日間は晴れて暖かになり
翌日(今日)は寒波で雪が降りました

有り難くてとても不思議ですが
ただもう素直に感謝いたします

お彼岸なのに先祖供養どころか…
先祖の方が助けに来てくれました
この二日は朝早く公園で白猫のららさんに会えました
(初めて会ったのはお盆の迎え火を焚いていたので、以来ずっと私にはご先祖の御使いに思えています)

新幹線や飛行機でいらした方
二年ぶりの茶友や
新しいご縁のお茶人たち
ようやく帰国できた方や
天の川に橋がかかったよう!
ハグしたいけれど深いお辞儀で
マスクして目だけの顔合わせ…
それでもなんと心が華やぐことか

濃茶席を長板総荘貴人点で
釣り釜の掻き立て鑑に五徳の蓋置
扱いの連続でこの一ヶ月はみなさん集中してお点前の習得に励まれました

一番頑張っていた方はご家族のPCR検査結果待ちになりお休み…泪

本当に残念ではありますが
この修練は決して無駄になりません
花は自分のタイミングで咲かせるのが一番美しいと思います

久しぶりに吊るした古浄味の雲竜釜
胴にある古傷の隙間から
二日間で一滴だけ滴が漏れた瞬間に立ち会えたので
釜にWinkされた気持ちになりました

真新しい治兵衛の貴人台に
入手以来、吉森が日夜ひたすら磨き
すっかり色白になった仁清茶碗
気持ちよくお点前できた方はおめでとうございます

表具した宸翰は後陽成帝
好みの金襴と竹屋町を緑青で染めて用いました
西行の柳の和歌に
叭叭鳥の香炉も歌うように揺らして

花は庭の玉之浦(赤)と加茂本阿弥(白)
に吉森が早朝に藪漕ぎして採取してくれた木五倍子(きぶし)を添えて

帯地で誂えた風炉先は赤溜塗
紅春慶の長板に
東福門院好みの柄杓…
お点前座にも明るい色を差しました

お菓子はきんとん『花朧』
花曇りの空と桜と雲をこき混ぜて
春の光を金粉で表現しました

あれこれ好きにさせていただき
全てに感謝いたします

薄茶は茶箱席を立礼で
『なごみ』(2021.10月)に掲載いただいたsoraの茶箱
カルトナージュの白苺泥棒を初使い

ウィリアム・モリスは玄々斎宗匠と同時代ですね
二人とも空から見ていてくださるかしら
フランスの漆喰十字盆に
茶器はイギリスの砂糖壺
鼈甲茶杓に高麗御本茶碗
青白市松の袋…
甘すぎないエレガンスで野に出れば
桜と土筆が喝采を送ります

英一圭の西行の富士見の絵で始まり
与謝野晶子の短歌、花の下で閉じる
ヨシモリズムも快調でした

リアル茶会は写真が少なく
会記と礼状と記憶が頼りですが
目を閉じると人々の笑顔ばかり
百花のごとく浮かびます

湿し灰をたくさん蒔いて
心は桜🌸満開です
半日昏睡しましたが
『花咲か夫婦』また頑張ります
ありがとうございました