星霜抄~青葉風~

星霜抄
  ~青葉風~

明るい陽射し
楓の木漏れ日を
青葉風がかき回す水曜日

洗面所の窓を開けると
今日も常連(猫)さんが寝ている

ちょっぴり体調優れない様子のららさん(老猫)のために
ヨードが効いた鯛の昆布締めを仕込む夫…

様子を見に玄関を出たとたん
数寄屋門越しに
仲良しの栗っ子ちゃんたち
はるこちゃんと
ゆきちゃんに出逢う

私)こんにちは!
栗)こんにちは~!

栗)この前は庭を見せてくれてありがとうございました!
栗)樹がたくさんきれいでした!

…また露地が見たいと言ってくれる

私)どうぞ開けておくから…
栗)わあ!ありがとうございます!

山芍薬のつぼみを見ては
栗)わあ!
別の鉢を見ては
栗)これアジサイですか
私)そう、アジサイの仲間、甘茶って言うの
栗)本当だ、葉っぱが少し違うかも!

栗)隣に白い猫いますよね!
栗)いまは来てないですか?

この町のことよく知ってる二人…
栗)ふーん、あ、なんだろ

私)それは道祖神という旅の神様が彫ってある石なの

それからは二人で角を曲がり
『チャイコフスキーのシンフォニーno.1』と命名された小道を通り
静か~に、また、ときどきは歓声を上げて行く

栗)ねえ、この切り株になってるところ、いいよねー
栗)うん大好き!

ゆっくり一巡りしてから帰っていく
生け垣の向こうに見えて遠ざかる
個性的な二色のランドセル
遠くなりつつ聞こえる
はきはきした明るく澄んだ声…

(私は声がきれいな人が好き)

黒チビちゃんの猫が来て
沓抜石に座って茶室を見ている
煮干しを土産に咥えて去り往く

白猫ららさんが木漏れ日を歩く
背中にあたる白いスポットライトが
水玉模様でバンビみたい!

薫風が吹くとぐるぐると世界が回る
青葉影は大人も子供も猫も好き
いろんな命を吹き寄せる

泰山木のつぼみが
仏様の御厨子のように膨らんで
拝みたくなる神々しさ

人も猫も木も星も…
みんな暮らしが仕事なんだね