~熱海の旅~ 1

2022.11.28
吉森47歳の誕生日

47歳のお誕生日おめでとう
もう十年以上もお茶をしつつ
一緒に生きてくれて
本当にありがとう

誕生日前日は熱海の茶会に招かれて
青クマ号で青空の下をドライブした
(茶会の様子は後のど)

この日の茶会場の起雲閣といえば
元は内田信也氏が
実母の静養の為に建てた別邸である

母のための贅沢は、美徳と憧憬を集める
今年春に見た遠山記念館と重なる面もあり…

三大船成金と呼ばれた内田信也氏には
私の母が若い頃大変世話になったと聞く
何度も聞いていた母の昔話に出てくる人物が
信也氏と認識したのはつい最近のこと

えにしを感じて来た常春の冬館
数奇を凝らした建物を
数時間かけてじっくり見て回った

思っていたより落ち着きがあり
静かな佇まいで親しみを感じた
確かに成金だが成金趣味の人ではない

信也氏はまた鉄道大臣だった
その縁からかこの館は
鉄道王の根津嘉一郎氏が買い取り
洋館を建て増しローマ風呂や暖炉を造り…

さらに庭に心血を注ぎ
根津石と呼ばれる巨石を二ヶ月かけて
コロで運ばせて中央に配した
得意気に腕を組む漢(おとこ)たちの写真が
可笑しくも可愛い

旅館になってからはせせこましさも加わり
文豪の逸話には太宰治に三島由紀夫
金色夜叉の尾崎紅葉に坪内逍遙……
説明にも世俗的な説明が増えて
やや残念な気持ちになる

しかし吉森があるポスターを指差し
金色夜叉のキャストの看護婦役の名前に
私たちがよく知る演出家を見つけた

後日メッセンジャーで尋ねると
果たしてご本人だった!
半世紀も生きると
平成も昭和も大正も明治も昨日のよう…

賀の祝の頃には
万巻上人にもきっと親しみを感じてるだろう
熱海は不思議な町

信也氏の、熱海の山にあった方の別邸…
母の思い出の地はもうないようだ