熱海にて
2022.11.28
~空と海の間で自分も蒼くなる時~
Hotel Acao
エントランスのアートは
大小島真木さんの「鯨の目」
通りかかるびに写真にするほど惚れ込んで
検索しメッセンジャーして繋がれた
自然と命の不思議に対して
畏怖と崇敬を感じさせてくれる
若い天才に出逢えて嬉しい
空と海だけを見る窓で
全てが漆黒に沈むまでお茶を飲む
温泉とアートと丁寧な和食
いつもの暮らしの延長ながら
もてなされる有り難さで心が柔らかくなる
お椀の身と蓋の木目を
横に揃えて配膳してくださる心地よさ…
部屋の窓が再び陽光に満ちて目が覚める
冬の朝の海風の中で
水平線と繋がる湯に浸る
チェックアウトまで窓辺でお茶を飲む(笑)
70万平米あるというホテルの敷地の
ほんの一部を何時間も散策する
錦ケ浦と曽我浦の絶景を保存し
海に張り出した躯体を地形で巧みに隠す
創立者のダイナミズムと遊び心が随所にある
台湾のラ・ルーやL.A.のモンドリアン以上に
想像力を掻き立てられる
熱海という新大陸を見つけた気分
こんなに美しいところだったとは…
クラシックホテルと呼ぶには新しいけれど
変化しながら半世紀かけて今の姿になり
今また激動期にいるように感じる
このホテルの半生を感じながら
ラッフルズやオリエンタルのように
この先ゆっくり歴史を刻んで欲しいと願う
そう思える場所
なんといっても自然
高低差のある断崖のあちらこちらに
階段の踊り場ほどの展望台
岩礁に砕ける波の躍動と
穏やかな水平線を交互に見て
同じひとつの海であることに驚き
いちいち言葉にしたくなる
潮騒に二度と同じリズムはなく
絶え間なく繰り返しながら
常に新たな歌を歌う
それが「自然」
今日の私たちも
昨日の私たちと繋がっていて
二度と同じにはならない
一瞬、一瞬、一瞬が美しい
ひとつひとつが愛しい時間になるよう
心澄ませて味わいたい