ご報告 第74回星霜軒月釜 2023.2.26


織田有楽johanの茶会を終えました
お付き合いくださる皆様に深謝

有楽斎はじめ先達茶人の導きに感謝

肌寒いので汲み出しに麹甘酒を
寄り付きには織田頼長(織田道八・左門)短冊
息子さるの小松を愛でる和歌

おうち懐石は
春の食材で織田家へのオマージュを表現
信長初陣装束の『紅白』を酢蛸で表し
うすい豆の『若草色』のすり流しを蒸し鯛に
湯葉ちらし寿司でとりどりに
粕汁に紅鮭の『薄紅』芽キャベツの『若緑』
柚子の黄金色は『豊臣色』を差し色に

創作菓子で百の椿を好むプロジェクト
(実在する椿の品種を菓子にする)も
15種目になりました

『有楽』『茶々姫』『マリア様』
『隠れ磯』『加茂本阿弥』の新作5種
それぞれに有楽のエピソードを込めました

秀吉と利休からの台子相伝の逸話を語りたく
織田家の赤を朱塗台子に寄せ皆具
象嵌と像を洒落で四つ揃えに
十文字釜を鎖で吊りロザリオに見立て
聖堂のステンドグラスを螺鈿の炉縁に代えて

先だって露地散歩のロケでは
鎌倉の建長寺へ傳有楽斎の墓を参じ
小一時間のお掃除で心を洗いまし
(戦国時代の趣向に浸ると心が傷みます)

枯葉を払い緑苔に水を打ち
静かに合掌しつつ囀ずりを聴くと
四百年を経る宝塔が心なしか和らいで見え
三五郎可休の遺徳の向うには
平手政秀と霊仙院(有楽室)の気配も…
あ、と気づけば墓参の翌日は
平手政秀470回目の命日でした
お香を持参すれば良かったと後悔し
自宅の仏壇にて焼香を

東慶寺へ立ち寄り
有楽の姪孫にあたる天秀尼様へも墓参し
昨年一年間のお礼の合掌
(教授記念茶事で語らせて頂いたご縁に)

本席の軸は
『住吉社の野点茶会が雨天ならば…』の
『猿釜の文』
差し出し日は二月三日で二十二日の相談
まさに今月、二月の消息
やんわりしつつも落ち着かない空模様
春空に浮かぶ筆

平家末裔を誇る織田家への献茶を
仁清の涙痕紋呉器『重盛』にて
吉森が点前
茶杓の作は織田秀一
(有楽の曾孫 尚長系)

生涯連れ添った有楽の妻 霊仙院は
織田家の爺や平手政秀の末娘、お清

有楽に先立ち39歳で早世した道八
その息子 三五郎を後の数寄茶人に育てのも
優しいお婆ちゃんであったことと
平手家の静かな美意識の強さに私淑します

有楽斎の遺構 茶室『如庵』
Johan は洗礼名とも

茶室に『庵の如し』と名付けた有楽は
最初『無楽』と名乗ろうとして
秀吉に『え、せめて有楽にしといたら?』
と言われて有楽になった
二人の会話のウィットにクスリ…

私たちも、如庵の写し、恕庵で
稽古や茶会を重ねて六年目の春です
(東京都立大学 南大沢キャンパス内)

今週末は卒業茶会
恕庵から若者が羽ばたきます
行く先は社会という戦場か選仏場か…

いずれにしても
恕庵と星霜軒は松風の音を絶やさずに
帰りを待っています

会記pdfは別掲載