ご報告 はじめての茶会 ~その1~

はじめての茶会~その1~

去る7月2日(日)
靖国神社の洗心亭にて、私の稽古場創立10周年の記念茶会をいたしました。

題名は「はじめての茶会」
社中単独運営の単独主催での茶会は初めての試み。
濃茶、薄茶の二席、それぞれの役割に徹した実践の日となりました。

また、お客様は、師匠である母を始め、稽古場立ち上げの時期を支えてくださいました同門、茶友、の皆様。

私は、母の稽古場を手伝ったり、代稽古をしたり、引き継いだり、ということをしないまま、全く他所に稽古場を開設し、わずかな手持ち道具と、他所様から頂いた道具で始めました。

十分な心の準備もないまま、ある方とのご縁で、稽古場開設は突然、訪れました。
稽古不足を幕は待たない…の演歌ではありませんが、やるべき時が来たら、やる。
人生なんでもそうですが、まさか自分がお茶を教える立場になるとは、考えていませんでした。

仕事もしていましたから、有給や早退を駆使して、スーツケースに着替えや抹茶を詰めて通勤ラッシュにも乗りました。

必死な私を、母社中の同門や茶友が助けてくださいました。
「仕事で近くに来たから、帰りに、お茶を一服いただきに寄りましたよ」と、口実をつけてはお立ち寄りくださり、回らない水屋の支度や、初心者の連客、見学者の対応を然り気無くフォローしてくださいました。
実は、仲間でメール相談しながら、誰かは立ち寄れるようにと連携してくれていたのでした…
有り難さに泣いた夜を思い、思い出しては、またまた涙が出ます…。

10年一日と申しますが、あの頃、形にならない稽古場を様々にご支援くださった方を、こうしてお招きできる幸せ…、十年ものの「ありがとう」を噛み締めました。

また、このタイトル通りに、「お茶会は初めて!」「濃茶のいただき方がわからない」「正座に自信がない」「家族を連れていきたい」という「はじめて」に応える茶会を目指しました。

たくさんの「お茶会デビュー」の客人や、お子さま、家族連れ、仕事の取引先様や、親子のデートとしていらしてくださり、「お人とお茶の出逢いの場に居たい」という、私どもの夢が、また叶いました。

社中の皆様には、大きな試練と挑戦になった方もいたと思います。
初めて席主をする方、毎晩、眠れないほど勉強したり、語りの練習を繰り返したり…
薄茶席の趣向や企画ごとお願いしました。

「どうして七月なんですか?」という新人さんもいて(笑)、七月に創設したからなんですが、10年もしたら、月までこだわらなくても良かったかしら?と申し訳なく候。(^_^;)
3月から茶会続きで、その度に、場所もお点前もガラリと違い、ある方は劇団に所属した気分だったと…たくさんご負担かけました。

入門三ヶ月目でのお点前デビューもいらして、初心者には酷な、夏の羅(うすもの)の着物の手配や、猛暑、平茶碗など扱いが加わり、確かにハードルが多かったでしょう。
でも気づけば、お弟子さんにも、私より大人の方がいらして、新人をフォローくださる助け合いが生じました。

落ち着いた清々しいお点前をしてくださる姿を見ながら、最後の稽古はマンツーマンの5時間通しだったのを思い出して、数十年前の自分を重ねました。

お茶を続けて良かった。
いえ、続けて来たのが、お茶で良かった。
改めて強く深く、感謝が湧いて参ります。

お付き合いくださいました皆様に、心より感謝申し上げます。
いままでの成長と、いまの至らなさ、すべてを見守ってくださるその視線が、心の羅針盤です。
そして、今後も定点観測してくださいますよう、重ねてよろしくお願いいたします。