星霜抄 2023.11.28 ~智浩48th.B.D.箱根~

星霜抄 2023.11.28 
   ~智浩48th.B.D.箱根~

冬至に向けて万物の陰が強まる頃
毎日のように心憂い知らせがくる
祈りと願いと執着が
区別なく胸の中で混ざる…

お茶を欠かさなくても
知らず知らずに
魂が草臥れてしまう頃に
吉森48歳の誕生日が巡って来た

自分の中心にまた一つ
小さな小さな年輪を作り
それを外へ外へ押し出しながら
空に向かう樹木のように生きる

新しいものはいつも小さくて
内側に生まれればそれでいい
術後の1年を息を潜めて待ったころ
未来を描くことを躊躇うときもあった
 
暮らすとは…
その日の太陽を西に見送ること

二人で暮らしを仕事にして
十年が経とうとしています
細い十本の年輪を静かになぞると
琴のように響いた

誕生日は小さく新しいものを
大切に思う日であればいい

特別なことは欲せず
心にたくさんの余白をつくり
空(くう)に自由な絵を画く日にしている

……なのだが
星霜軒のすぐ近くで
ビルを解体し出した💧

静けさだけを探して…
岩崎彌之助の庭園を散策しに
箱根の吉池旅館に出向いた

窓から庭の紅葉を眺め
湯に浸かってほくほくに茹だり
暖かい食事をとり
星空を見上げる

一万坪の庭園の真ん中で
ヒマラヤ杉の切り株に出逢った

どうしようもない哀しさと
天まで広がる敬意が同時に湧いてきて
しばらくその生きざまの跡を
眺めて、触って無言で過ごした
掌に温かい…
樹木は生き物

散り敷く松葉
とりどりの紅葉
池に浮く紅、流れる黄…
命の一瞬一緒は
圧倒されるほど美しい

咲く日も
実る日も
枯れる日も
朽ちる日も
きっとそれは美しい

また一日
共に暮らしてくれて
ありがとう