箱根2023旅の記録 11.29
(忘れたくなくて書き残します)
箱根湯元の吉池旅館に保存される『暁庵』
山県有朋の庵は旅を重ね、松永耳庵にも愛され、時の流れに身を任せ
いまは鉄筋コンクリートの旅館ロビーに
一応終着しました
誰もいないロビー
見る人も通る人もいない
静かで清々して茶事の寄付のよう
自分と向き合い
二人で向き合い
自然に向き合い
言葉もなく静かに座る
息を吸ってゆっくり吐く…
ん、私たち
いつかここで茶会をするなと直感するほど
久しぶりに喜びと発見のある間取りでした✨
解説の札には書かれていませんが
『あ、ここ、真似したい!』の衝動に遭遇
(山田宗囲好『紅葉庵』以来の感動)
きっと耳庵様もソコを気に入ったのでは?
と思いを馳せつつ旅館を後に
松永耳庵記念館でまたのんびり
『老欅』前の石に立ち、天と地を結ぶよう
吉森が樹木とひとつに成れたそのとき…
木漏れ日がサラサラ音を立てるように
私たちに降り注ぎました✨
ありがとう…
私が呟いたのか
空から聴こえたのか解らなかった
母がここに晩年の耳庵氏を訪ねたときは
庭師のお孫さんと遊んでいたそうで
『蜜柑が成っているから採りなさい、
甘いよ🙂』
と優しいお爺さんぶりだったとか…
電力の鬼と呼ばれた眼光は
展示のモノクロームのポートレートからだけ
微かに覗いています
立派な眉毛は先ほどの老欅とシンクロします
どうしたらこんなに伸びるんだろう?
私がひとり旅していたころ
世界中でかっこいいお爺さんに出逢った…
以来、私の夢は味のあるお爺さんになること
でしたが、叶わぬ夢を今は吉森に託し
私は小さなお婆さんを目指すことにしました
それにしても、ここ安らぐなあ
静けさと木漏れ日と仄かな闇があって
しっとりした風が触れて
庇で切り取られた自然が
気配の中では空まで繋がっていて…
ほら、囀ずりが聴こえた
こんなに素晴らしいのだから
お茶があったらなあ
かつてはあっただろうなあ
お茶飲みたいなあ
お茶点てたいなあ
お茶飲みたいなあ
とにかくお茶がこの空間に無いことが
残念すぎてへたりました
(弱くなったな私)
障子越しの緑が抹茶を恋しくさせます
露地の苔が抹茶に見え
紅葉は練り切りか、吹き寄せか、、、
お茶が滅茶苦茶飲みたくなる場所です
耳庵さんさすがだけど
岩崎彌之助さんもすごいけど
届いてないですよ、肝心なその思い😢
自販機もないから
とにかくお茶が飲めるところへ行きます
お茶が飲めるのは
お茶が大好きな人の庵に他なりません
お茶好きは
お茶好きを求める