~星霜抄 2025.5.25~
伊達な星霜軒 茶会 宇和島編
去る5月25日(日)
愛媛県宇和島市の名勝「天赦園」での
第97回目の星霜軒月釜茶会におきましては
大勢の方にご来駕いただき、また多方面からのご支援を賜りましたこと
心より感謝申し上げます
万緑の中に菖蒲が咲き初める中
当主奥様 伊達実紀様もお迎えし
社中関係者二十名
ご遠来含め六十名の皆様と過ごせたこと真に冥利に尽きる日…
春雨亭(はるさめてい)と潜淵館(せんえんかん)を快くお貸しくださいました伊達家御当主に感謝申し上げます
そも天赦園(てんしゃえん)は
宇和島伊達藩二代 宗利公が
海を埋め立て造成した「浜御殿」(寛文12年)を
七代宗紀公が自らの隠居所に大改造 し竣工(慶応2年)した大名庭園
馬上に少年過ぎ
世は平にして白髪多し
残躯は天の赦すところ
楽しまずして是を如何せん
(伊達政宗公 退穏の述懐)
から「天赦園(てんしゃえん)」と命名された、生きる悦びと穏やかさで満たしてくれる楽園です
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準備日は激しい雨音の中…
もし二人きりなら泣いてます(笑)
しかしお陰様で全山の翠が滴り
支度が終わる頃には雨も上がり
世界がみるみる輝き出すと
突然、眼前の松の樹上に
つがいの鷺が降り立ちました!
空に向けて高らかに一声を上げ
(歓迎の意か)
羽音雄々しく飛び立ち
二羽でむつみながら飛び去りました
茶会当日は天の赦しに遇ったか
週間天気予報を裏切る快晴に涙…
青雲の下 庭園を歩く客人の姿が美しい
初座床
宇和島伊達藩初代 伊達秀宗 筆
「花盛りむなしき山に鳴く猿の
こころ知らるる春の夜の月」
(定家和歌短冊)
花
京鹿子 小海老草 都忘 梅花空木
紫陽花(七段花)
汲出
杏子紅茶(豊姫を思慕して)
菓子
きんとん 肥後菖蒲(梅花亭)
後座床
豊臣秀頼 筆 一行
山鳴谷應 (後赤壁賦より)
花
(秀宗公の墓所より頂いた)
唐竹蘭 桔梗 撫子 小葉髄菜 縞葦
花入
作 千利休 銘「中サマ」(秀次公)
濃茶 銘「浅井姫命」
宇和の海を干菓子に「うわうみ」(豆いち製)(他 会記に)
大阪夏の陣(1615)直前
晩春の夜に兄弟のように育った
麗しき二人の武将(伊達秀宗と豊臣秀頼)の心に迫り
宇和島と大阪城で互いにその幼き頃に思う気持ちを二席で物語しました
吉森節のイノセンスに
ひかり節のミステリーを乗せ
星霜軒風に…
往復2000キロの車の旅で富士山をはじめ、古人が眺めた景色を見つつ時間も旅しました
道中は琵琶湖、しまなみ海道、道後温泉に宿をとり
水や空気や植生や食材の違いを
五感で日々新たに受け止めました
帰りの高速道路ではまた鷺が!!
100キロで走行する車の目の前に低空飛行したあと、
車の屋根すれすれにフロントガラス上部には足を添えるようにして見せながら
しばらく頭上を並走したあと
また二羽でたわむれながら
去って行きました…(呆気…)
見送りに来てくれたんですね
ありがとう
あなたが誰だかは解っています
ありがとう
この旅をずっと見守ってくれて
いずこも忘れがたく…
しかし いいえ 宇和島こそは
山間に雲の生ずるごとく
優しさの生まれ育つ場所です
訪れたもの皆の故郷になる町
私の心に
感謝が無尽蔵に湧いてくる泉が
またひとつできました
松浦惠子先生
越智美紀先生
伊達事務所様
木屋旅館様
龍華山等覚寺様
……
素晴らしき仲間
愛ある客人へ
感謝を込めて
2025.5.29深夜帰着























