ご報告 第26回 星霜軒 月釜茶会『光源氏茶会』その2

~その2~

第26回月釜「光源氏茶会」
この度は、道具組以上に、お人組、ストーリーより、登場人物の個性や生き方にフォーカスしてみました。

桐壺帝?、朧月夜の君、槿の君、豪の君、快翔の君、勇の君、(笑)

万貴の上のご子息、優の君が芳名帖にお記しになるも、いとおかし。
この度は丸の君をともなわれて、若人が増えていっそうこの院も栄えたり。

勇の君、栗原の妹背ら、お客様の笑顔も光輝いて、青空に両手を広げて深呼吸しているような、満開の花水木の樹の下で、談笑はやまず、野遊びの気分も味わいました。

星霜軒には通われてますが、この日、初めて抹茶を召された、もうすぐ一歳の彩夏の君。

奥をお勤めの桐壺帝が、抹茶ミルクに黍砂糖を少し入れ、木の匙をお付けしてお勧めしたところ、彩夏の君は、たいそうお気に召した様子で、匙を小まめにお使いになり、お口にふくむ姿もいとおかし。
小さなプーさんのようだと口々に誉めそやす様もあはれなり。

本席の菓子は、桐壺の襲を表してみました。
一枚の餅皮を四色に染め分け、美生柑風味の白餡をつつみ、重ね具合で、襲を表現。
雅やかなお菓子ができました。

この日、私は登場人物からは一歩引いて、紫式部の気持ちで、自作の世界が、手を離れ、生き生きと個性を照らし会うのを、幸せに眺めていました。
藤色の宝尽くしの繍に、濃紫の牡丹と藤の帯、やや深緑色の帯揚、さみどり色の帯締で、藤壺の更衣の襲を取り合わせてみました。

季節と、花の色、と襲の色目、その染料となる草木、それらの形容といまの心情を巧みに重ね合わせて、色や匂いや気配に変えて、仕草や文字に着せて交換する。

日本を誇らしく思い過ぎるのは佳くないけれど、つくづく、日本に生まれ育ち、これからも住まい、暮らしていける幸運に、深く幾重にも感謝が溢れる日でした。

インナータイムトリップにお付き合いくださいました皆々様に、ありがとうございました。