「星霜軒一日二冊」其の二

「星霜軒一日二冊」其の二
僕は小さいころ、女の子みたいとからかわれることが多く、また理由はわかりませんが上手に発音できない音があったため、人前で話をすることがとてもとても苦痛でした。
絵そして、茶の湯という表現と出会い、僕の抱えている「みにくいあひるのこ」の物語は、次のページへと進んでゆきました。
「スワン アンナ・パブロワのゆめ」
 文 ローレル・スナイダー
 絵 ジュリー・モースタッド
 訳 石津ちひろ
アンナ・パブロワは、現在の私たちからすると理想のバレリーナ像そのものですが、デビュー当時は非常に風変わりなバレエダンサーでした。
あまりにも華奢で、通常のシューズが合わず、独自に改良したものが現在のトゥシューズに繋がったと言われています。
バレエから貰った夢、その一輪の花を自らの内に育て、誰も見たことのない花畑を世界中の人々に魅せたアンナの人生。
「スワン」有吉京子著
星霜軒では、お茶の点前も身体芸術の一つとして考えています。
「スワン」はひかりに勧められ、白鳥と黒鳥のデュエット点前が話題を呼んだ星霜軒月釜「スワン茶会」に向けて読み始めました。
繰り返し描かれる、身体芸術と内因表現が一体であるという芸術(本当はすべての人の人生)の本質。
登場人物と作者の成長のシンクロから生まれる虚実のあわい。
自分が茶の稽古をする時はもちろん、人の稽古を見せていただく時にも心の本棚に置いている一刷です。