~稽古日記~ 清水谷回想

~稽古日記~ 清水谷回想

八月も稽古三昧
この日は手作りの葡萄の錦玉羮
あっさり味
でも15個はかなり重い…

清水谷の木曜日の稽古も
14年目に入りました

そのときのある大臣の声かけで始まった稽古場でしたが
あの夏も安倍首相の退任があり
事情が変わりながらも
この稽古は続いて来ました

翌金曜日のニュースに驚き
変わらぬものと変わらないものを思いました

気づけば清水谷の木々も
だいぶ成長し
枯れるものは枯れ
草花は変遷し
豪雨で飛び石が浮いて
茶室も少しずつ古びている…

変わらないのは小間の窓から入る
葉陰の日時計がちりちりと回る
静かな時間…

長時間の出稽古日には
吉森と交代で
おやつと翌朝のパンを買う日課

変わらないのは
オーバカナルのギャルソンとの会話
とはいえ白髪は少し増えたかな
店内は静かで人は少なく
パンもケーキもたくさんあり…

そうして今日も開いてくれていたことに感謝が溢れて
やたら買ってしまいました(笑)
スタンプたくさんありがとう
心病めるときも
病めるときも
ご機嫌な時期も
自分を定点観測してきた場所

私の13年間の喜怒哀楽を
どれだけここのカフェオレの泡が
包み込んで和らげてくれたことか

いつきてもいい
いつまでいてもいい
最近は買い物だけになってしまった
『じゃ、また』
と別れるときは実家を出るときを
思い出す
この日の稽古場はひときわ清浄
念入りに拭かれた畳が気持ちよい

あのころは生まれてもいなかった
千絵さんは学校も稽古場も五年生
この日は小習事から重ね茶碗の稽古

『二服点だと先生にお茶を喫んでもらえる!』
と張り切って熱々でしっかり濃いめの美味しい濃茶を練ってくれる
この一碗に命長らえる私たち
(その甘露を吉森に譲り庭を散歩)

蝉の大騒ぎを浴びながら
池の水明かりを眺める

ラオスの思い出を茶碗荘に託して
語ってくれる夜の稽古

昼見た庭の景色と
ラオスの自然の話が重なり
澄んだ空気や川風を感じながら
鈴虫を友に語らうひととき
稽古は茶事
暮らしは仕事
帰宅して深夜近くに
紅茶とサンドイッチで
稽古談話は続く…