星霜抄2020.10.21
~内弟子面接・トランスジェンダー問題~
個人稽古が一人だけの昼
吉森は表を掃き
私は厨仕事をしていた
昼食の準備が整ったので
窓から吉森を呼ぼうとすると
誰かと立ち話をしている様子…
樫の木陰で相手が見えない
食後になって子細を訊ね
抱腹絶倒
なんと私が再来を待ちかねていた
おかっぱ頭に眼鏡の女の子😀
『あの』くりっこちゃんでした!
きっかけは吉森の背後から
明るい声で
🌰『こんにちはーっ』
吉『こんにちは』
🌰『この家の人ですか?』
吉『はい🙋』
※この質問時点で、先日の『後継者問題』記事の女の子ではないかと察したらしい。そこはなかなか鋭い。
🌰『茶道教室ですよね』
吉『はい、そうです』
🌰『お茶を習っている人ですか?
教えている人ですか?』
吉『教えている人です』
🌰『習っている人は、大人の人ばかりですか?』
吉『小学生もみえますよ。お父さんお母さんに相談してみてください』
🌰『お父さんが反対するかも知れません…』
ここで何と応じたかを私は知りたかった!
が、一押しもせず、返事もせず、ただ見ていた吉森
その吉森を見つめ返しての質問が
🌰『女の人ですか?男の人ですか?』
吉『男の人です』
※慣れているので普通に答えただろう
🌰『後ろからみて女の人かと思いました』
🌰『……外は女の人で、中は男の人ですか?』
※この質問こそが、私がこのお嬢さんに再会を望み、シンパシーを感じているゆえんです。
自分の目で見たことを素直に感じ、言葉にする、『心を言葉にする能力』が高いのです✨
吉『……そうかも知れません』
※そ、その返答でよいのか?💧
お父さんお母さんにどんな風に相談するのか…心配になってきた~
(長い髪を後ろで束ね、ターコイズブルーのエプロンを着けて掃除する私たち夫婦は、遠目に見て装束は似ている。しかし前を向いた途端に丸で違うことに、もしかしたらこの女の子同様、町の人たちも戸惑っているのかも知れない…)
『もしかしたら内弟子』候補だった女の子に、いきなり逆面接された吉森の今日
会話はどう収束したのかも夫の話からではよく分からない…
私たちは男女二人で一組の夫婦をしております
この町に不思議な噂が立ちませんよう…