星霜抄
~数寄屋門カフェ~
稽古の合間に空き時間ができた日
パーカーに着替えて手袋を掴み
門前の掃除に駆け出す
門を開くや否や
🌰っ子『こんにちはーっ❗』
私『あらっ、こんにちは❗☺』
(最近、遭遇率高くないだろうか?)
🌰っ子『私たち、いつもここでお茶しているんです✨ねっ』
私『えっ⁉️』
よく見れば肩からそれぞれに水筒を下げている
夏には日差しを避け
冬は風を避け
下校途中に水分補給するための拠り所として
我が家はすでに長い間
彼女たちの“お茶場”だったのか
といまさら気づく
どうりで遭遇率が高いと思った…
黄色いランドセルカバーの
一年生のこの子たちと
一年生の数寄屋門…
同級生の波長が合ったのか?
すでに四季をともにして来た様子
私は長いこと🌰っ子ちゃんが
『私ここでお茶がしたいんです❗』
と言うのを待っていたのに
本当は、とっくに
『お茶しているんです❗』
だったのか…
拍子抜けして可笑しくもあり
知らんふりしていた数寄屋門くんを
ちょいと肘で小突きたくなる
あら、では
定点観測されていたのは
こちらだったのね😅
こうして遭遇して会話することを
待っていたのは私の方だけでは
なかったのか
🌰っ子たち
『私たちこの家、大好きです❗』
だからいつも、咄嗟にも関わらず
しっかりと気持ちを伝えてくれたのね(涙)
🌰っ子『ここは樹がいっぱいあって好き』
アラカシの生け垣に顔が触れるほど
ぐいっと覗き込んで言う
露地では吉森が蹲あたりに水を撒いていた
冬の虹を作りながら
サアサアと木々を鳴らしながら
相変わらずポーカーフェイスで
生け垣越しに笑いかけたりもしない…(見ないふりか)
キラキラ光る露地の緑を
もっとキラキラした目で見つめて
🌰っ子『ここで家族で写真を撮ったらいいと思う❗』
(お、インスタ映えね✨)
私『うんうん(涙)』
隣の🌰っ子
『着物で写真撮るのにいいね✨』
私『いいわね✨お着物着たことある?』
🌰っ子
『七五三で撮りました❗』
『私も❗』
私『お正月は?着ないの?』
🌰っ子
『お正月はお爺ちゃんお婆ちゃんには会いません、七五三で会ったからもういいの❗』
コロナ下で、家族集合も自粛なのかな…
『もういいの』
ということになったのだろうか
お爺ちゃんお婆ちゃん…
なんだか
可愛そうだな
でも穏やかだった11月のうちに
七五三の記念写真が撮れたのは本当によかった💓
なんだか他人ごととは思えず
胸を撫で下ろして安堵する
貴方たちに会いたがっているのは
私たちだけではないはず
なのに学校のある日は
毎日ここを通り
数寄屋門でお茶してくれる
日本のどこかで
🌰っ子ちゃんの暮らしを思う
お爺ちゃんお婆ちゃんに
そっと合掌したくなりました
私『学校の帰りではなく、一度帰ってから遊びに来たら、庭を案内しますね』
🌰っ子
『来たいです❗』
私『お母さんに話してみてね✨今日はお稽古があってダメだけど、必ずまた来てね』
🌰っ子ペア
『はーい❗』
『また来ます❗』
『掃除手伝います』
私『(笑)はいはい、さようなら👋』
🌰っ子たち
『さようならー❗』
『さようならーっ❗』
冬日のコントラストで
モノクロに見える小さな姿たち
髪の毛がキラキラして見える
門を潜りながらふと
知らんふりして会話を聞いてきた
“水くさい数寄屋門”を見上げて
軽く肘で小突いてみた
ふん
数寄屋門くん…
貴方はまるで吉森さんみたいね
我が家の門を開けばいつも
上手(右)から🌰っ子たち登場し
やがて下手(左)へ去っていく
小川の流れを聞くように
渡り鳥を見送るように
私の心を揺らしていく…
数寄屋門は舞台の引き幕のよう
暮らしの劇場は今日も続く
神様ったら本当にもう
あ・り・が・と・う🙂
星霜抄 ~数寄屋門カフェ~
