星霜軒の令和6年

星霜軒の令和6年は
静かに始まりました

新年に感じる淑気が好き

新しいことを『清らか』と見て
巡りを止めないことを苦しまずに嬉しんで
言葉をギフトとして交わし慶びあう…

新春を愛でる慣習の底にある
心の働きが好きです

お日様に誘われて
両親先祖の墓に参り
丘の上で初御空を欲しいまま仰ぐ

歩いて栗木御嶽神社に初詣して
大好きな古い狛犬に挨拶をして

お賽銭をしようとしたら、あら
私の生まれ年の100円玉が
えらく素敵に古色を帯びていました
隣には令和の文字

天照大御神の御札を頂いて
甘酒の振る舞いを受けて帰る

出掛けに昼寝していた猫が
帰ってきてもまだ同じ石の上に寝ている
薄目を開けて首を15度くらい動かして
『今年も変わらぬご愛顧を』と
言っているかどうか…
穏やかな正月を忝なく思う

新しい御札を神棚に据えてもらい
部屋には近衛信尹筆の天神図を掛け

大晦日に届いたばかりの
仁清の茶碗を御物袋から出して
磨いたら綺麗な枇杷色に…かわい

早速、初点をして一服する
柔らかい西陽に部屋ごと包まれて
賀状を捲りながら笑い合う静かな時間

ゆらりゆらり…
はじめ微かに吊し照明が揺れた気がして
辺りを見渡した

やがてゆっくりと回るように
長く長く静かに揺れた…

何処かで
ただならぬ事が起きていることを感じ
胸騒ぎがしてスマホを引き寄せると
先ほどまでの穏やかさと
金色の冬日が同時に薄れて行きました

それからはいろいろ胸をよぎり
頭を巡り動揺しましたが
できることを探しながら
自分の足下の暮らしを止めないで
丁寧に暮らして居ます

二日からは連日庭師がいらして
初釜に向けて露地や門を整えています
いまを大事に一日一日
暮らしを仕事にして
悔いなく生きようと誓う新年です