星霜抄 令和6年 炉開

星霜抄2024.11.3~11.4
令和6年 炉開
今年も無事、炉を開くことができ感謝です

今年は『梅見門落成』の御披露目を兼ねました
(初夏に完成、今回青竹に改め)

庭師の杉山師が
星霜軒十周年の祝儀にと建ててくださった『梅見門(ばいけんもん)』

本歌に倣い七層の杉葺き屋根です
扁額は織部釉の陶板に『星霜軒』

佐倉砂や近江の石など密かに
六年かけて集めた素材たちに
優しさと楽しさが詰まっています

細竹の透かしが涼やかな門扉は
これも祝儀として中山技研さまより賜りました

初め『南側に門を開きたい』と願ったのは私でした
お日様と一緒に『お人のご縁が入る方角』だからです

しかし露地造作の折りは小さな板戸を付けるのが精一杯でした
杉山師はずっとそれを気にして
数寄屋門側に見合う門をと
密かに構想し始め…
懇意の陶芸茶人に扁額を依頼したり
今は採れなくなった貴重な砂利を集めたりと準備してきたのでした😢

建てたばかりの小さな門ですが
様々なお人の長年の思いがいっぱい

その優しい結界を潜り抜け
露地より水琴窟を聴いて席入り…


正親町天皇 和歌短冊軸装
~暮秋鐘~
散り残る紅葉の影も秋暮れて
ひとり色ある鐘の声かな

帝の筆は立ち上る香の煙のように
紙の奥から手前へと行きつ戻りつ
三次元にたゆたいます
鐘の音にも色を感じとる和歌と呼応して心に染み入る大好きな軸…

鳴滝の葉茶壺は
網袋かけず露にして
所望なしの景色鑑賞を楽しみました

白椿は獅子王
灯台躑躅の照葉を添えて
花入は胡銅 像耳付 矢筈板

釜は初代寒雉
古瀬戸水指に
古美濃茶入 袋 草花蝶金襴
茶杓 は無学宗衍

花に寄る蝶のごとく
炉辺の切磋琢磨を誓う日に

…初席は主役の職方お二人を正客に
社中と和みの炉開きを
ゆったりと過ごしました

二席目からは賀客もお招きして
湯気越しの茶席の会話を存分に
楽しみました
皆々様お付き合い感謝申し上げます

今回は社中の稽古熱心さんで
伸び盛りの者が代表となり
四名が亭主役を務めました

シーズン初お点前が続き薄茶…
中蓋、中仕舞、門問、中仕舞解く、、、
なめらかな所作に自主練の姿が重なって、見ているわたしが
豊かで清らかな気持ちになれる

いつもお弟子さんの姿勢を見て
自らの姿勢を正します✨

一年ぶり恒例の吉森の汁粉膳は
松浦先生ゆずりの丹波大納言小豆
今年は加賀の塩餅を用いました

一献もできるようにと
海老の旨煮と飛龍頭と蕪と
昆布椎茸の佃煮を添えてもらい
御酒は東光 雪女神

へぎ板は中山氏の数寄屋門落成記念
(門の端材の檜にて五十枚のうち)

小学生中学生のお弟子さんも
ご挨拶の堂々と爽やかなこと…

4ヶ月前に星霜軒に来た周平には
初めて炉シーズン到来です
早速、続き薄茶の稽古をつけて
朝晩深夜とエア稽古三昧…

本番では炉釜の湯気が立ち上る
龍神さまに逢えたかしら😊

お天気上々 微風
楽しくて暖かくて明るい炉開でした
皆々様に感謝申し上げます